上手く描くのは一握りの人にしかできないけど、丁寧に描くのは誰にでもできる

今回の記事タイトルは、大学時代に知り合った絵描きさんが言っていた言葉で、当時は「確かにそうですね!」と同意して、今でも自分が絵を描く時は、脳内にこの言葉を思い浮かべています。

ですが実際は「自分では丁寧に描いたつもりでも、他の人から見れば雑に見える」なんてことは普通にありますし、どこまで丁寧に描けば「丁寧に描いた」ことになるのか?という基準は人それぞれ違います。この話も結局「他人からの評価」ではなく「自分の心意気」の問題なのです。

とは言え、見る人に「上手いな」と思わせることに比べたら、まだ「下手だけど丁寧だな」と思わせることのほうが、ハードルは低そうです。いわゆる「ラフな画風」なんてものを成り立たせることができるのは上手い人だけです。下手ならせめて丁寧に描けというのは、正論だと思います。

私の絵は、物心ついた頃から今のような絵で、これまでの人生で大きく画風が変わったことはありません。まさしく「ラフな線でサラッと描く」なんてことをしたら大惨事になる絵なので、線はしっかりと均一に引いて、色もはみ出さずムラ無く塗るようにしています。

デジタルでは特に、バケツ塗りができる線画でないと不便だし気持ち悪いと感じるため、線と線をきっちりとくっつけています。これを「堅苦しい線」だと感じる人もいると思いますが、一方で「丁寧な線」だと言ってくれる人もいます。第三者からも丁寧に見えているとしたら有難いことです。

でもやはり、本当にめちゃくちゃ丁寧に描く人と比べたら、私の絵は雑な部類だと思います。
私は子供の頃は、自分は手先が器用で細かい作業が得意だと思っていましたが、大きくなって本当に繊細な物作りをする人に出会ったら、自分がいかにガサツか思い知りました。

同人活動を始めて他の絵描きさん達と知り合うと、自分の絵に対する姿勢も他の人達と比べて雑なことに気付きました。描けないものは誤魔化せばいい、その時のフィーリングで乗り切ればいい、最低限何とかなっていればいい…今思えば、絵を描いている人間とは思えない乱暴さです。

ただ、そういうノリで描いているからと言って、自分の作品が大事ではないとか、雑に描こうと思っているわけではないのです。私は、私にできる範囲で丁寧に描いているつもりです。

自分の絵を自分で上手いと思うことはできないけど、丁寧には描けたかなと思えれば満足です。
ですが、それは「自分の中での納得」であって、他の人からどう見えているかは別の話です。

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コメント

  1. うさぎ より:

    こんにちは。
    私も決して絵が上手い方ではないため、人に見せる絵はできる範囲で丁寧に描くのを心がけているので、共感できるお話です。

    よく「何時間もかけて描いた絵が神絵師のらくがきに負けた」みたいな話がありますが、らくがきでも魅力的に見えるのは画力のある人の特権だと思います。私の描いたラフな絵なんかはとても人の鑑賞に堪えられるものではないので、そういう事例に対して特に理不尽な気持ちになったことはありません。

    人に見せることを意識して、丁寧に描いているという以外では、やっぱり自分が後から見返した時にラフな絵ばかり大量より、枚数は少なくても丁寧に気持ちを込めて描いた絵が残っている方が個人的には満足度が高いので、そうしているというのもあります。

    自分としては丁寧なつもりでも他の人と比べると…というのもすごくわかります。特に最近は細かな描き込みの洗練されたイラストが多くて、同じ人間の描いたものとは思えませんね。
    かといってそれを目指すかというと自分には絶対に無理だと確信できるので諦めています。最近は年齢的に体力もなくなってきているので、雑に描こうとは思わないですが、少ない手数で魅力的に見える描き方はないかな?などと考えながら絵を描いています。

    ヒロコさんはスマホでタッチペンで描いているとのことでしたが、いつも線画が綺麗だなと感心していました。私はパソコンでペンタブで描いていますが、スマホで描けたら手軽だと思い、一度挑戦してみたのですがどうしても線画が綺麗に描けずに断念してしまいました。
    最近の若い人なんかはまずスマホでのお絵描きから入る人が多くて慣れるのが早いみたいなんですが、元々パソコンで描いていたであろうヒロコさんがすぐに慣れておられたのはすごいなと思います。

  2. ヒロコ1号 より:

    >うさぎさん
    こんにちは。自分の画力を客観視すると、やはり私のラフな絵は人に見せないほうがいいなと感じます。自分なりに「きちんと完成させた」と思えるものを公開したいです。
    神絵師は神なので、そりゃラクガキでも評価されますし、そもそも神絵師が本気で丁寧に描いたらもっと太刀打ちできなくなるけど?と、文句を言う人にはツッコミたいですね。

    私はもともと、この記事のような考えで絵を描いていましたが、SNS中毒になってしまっていた数年間のあいだは、周囲の空気に流されてラフなものを上げたこともあって、案の定後悔して黒歴史になっています。SNSをやっていた頃の私は私じゃなかったと思いますし、今は無事に初心を取り戻したので、今後はこのようなことが無いようにしたいです。

    私も、自分の過去作品は、ラフなものよりも丁寧に完成させたと言えるものがたくさんあったほうが、自分が満足できると考えています。その上で時間は有限なので、練習をしたりラフを描いたりはせずに本番作品だけを描き続けるという方法を取っています…と言うと何だかそれっぽいけど、実際はただ単に練習が嫌い&ラフに自信が無いだけです。

    私はペンタブとタッチペンの使い心地の差があまり分からないので、高価な道具は無意味なタイプかもしれません。昔は無駄なお金を使っていたなと後悔しています。
    あと、大きい画面よりも小さい画面で描くほうが描きやすいので、最初はタブレットを買おうかと思っていたのにスマホで充分となりました。こういうのも人それぞれですね。

  3. ミナト より:

    こんにちは。

    私はラフも清書絵も両方描いていますが、清書絵に関しては最近は手間を省くためにペン入れに曲線ツールを使用することが多く、自分位のやる気・画力の人間が丁寧に描くためにはハードルを下げる必要があるかも?と考えていたところです。

    本来であればラフを描かず全ての更新を清書絵に捧ぐのがいいのだろうと思いつつも、数をこなしたいのもあって交ぜて描いているのが現状だったりします。
    それでも、サイトのギャラリーページの見た目を良くしたくてなるべく清書絵の方に寄せるようにはしてます(元々サイトからやっているからこういう考えなのかも)

    ヒロコさんの絵が個人的に好きなのですが、それは線の描き方・塗り方が絵柄に合っているからだと思ってます。画力関係なく絵柄と相性の良い塗りや線画の描き方はあるかもしれないと感じています。

  4. ヒロコ1号 より:

    >ミナトさん
    こんにちは。私の場合、直線や円のツールを使ったり、拡大縮小や反転を使ったりすることはありますが、それ以外の線は基本的に手描きです。アナログ時代は本当に全部手描きだったので大変でした。デジタルツールのおかげで絵を続けられている人もいると思います。

    サイトのギャラリーページは、清書絵が並んでいるほうが見栄えが良いですよね。もともと分かっていたことだけど、SNSから個人サイトに戻った時にますます強く実感しました。
    ラフに描いてもカッコ良くなるならいいのですが、私の絵で線をラフに描くと悲しいことにしかならないと分かっているので、向いていないことはしないようにしています。

    絵を好きと言ってくださり、ありがとうございます。一次創作でもそういった感想が来るのは予想外でした。線の描き方や塗り方については「下手なりにマシに見せる方法」みたいなものを子供の頃から意識しているので、絵柄に合っていると言われると嬉しいです。