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同人活動の思い出/二次創作における「作家買い」について

ネットで二次創作を見たり、二次創作の同人誌を買う時は、大抵の人は自分の好きなジャンルやキャラのものを探すと思います。けれど中には、作者の作風自体が好きで「この人の作品なら知らないジャンルでも見たい」という場合もあるようです。

私自身は、そういった「作家買い」はまったくしないタイプでした。
毎日夢中で更新をチェックして神だと思っていた作者さんも、別ジャンルに移動した途端に興味ゼロになりました。知らないジャンルの上手い作品よりも、少しくらい下手でも私の好きなキャラを好みの解釈で表現してくれる作品のほうがずっと良かったです。

昔の女性向二次創作で「作家買い」をする人は少数派でしたが、それでもゼロでは無かったので、私もたまに「ジャンルが変わっても追いかけています!このジャンルは知らなかったけど、ヒロコさんの作品がきっかけで原作も見てハマリました!」などと言われた時は、嬉しかったり申し訳なかったりという気持ちになっていました。

ただ、ごくまれに「原作は知らないし見る予定もないけどヒロコさんの作品は楽しんでいます!」という謎の感想を頂くこともあって、あれは本当に謎でした。
昔、ゲームジャンルで交流していた知人も、イベントで「このゲームやってないけどあなたの小説は面白いから買います!」と言われて「???(´・ω・`)」となっていたことがあります。

その知人はイベント後のオフ会で「ゲームやってないのに二次創作小説読んでも意味不明やろ?私はジャンルを布教したくて書いてるのに、ゲームやる気は無いってどういうこと?ゲームやってないと私の小説の内容分からんやろ?」と困惑していました。

現役時代の私も、当時私と交流していた人達も、みんな「二次創作は原作が好きだから見るものであって、それ以外の理由で見ることなんてありえない」と考えていました。
私も知人も「原作を知らないのに二次創作を見る」という行為が本気で理解できなくて、大好きな原作をないがしろにされたようにも感じて、残念で悔しい気持ちになりました。

ですが、同人引退後にあらためて考えてみると、そんなものは見る人の自由で、こちらが口出しすることではないのかもと思うようになってきました。

作り手側だって、本当にそのジャンルが好きで活動している人もいれば、人気ジャンルで儲けるためにやる人もいます。それなら、読み手側にもいろいろな理由があって良いのかもしれません。
何を求めて二次創作を見るのか、その本当の目的はその人にしか分かりませんし、他人がその目的を無理に知る必要も無いのだと、今ならそう思えます。

現役時代に出会った、原作を知らないのに二次創作を見る人が何を考えていたのか、私には分かりません。でも、その人にはその人の価値観というものがあったのでしょう。

まあ現役時代は「同じ原作が好きな人同士で萌えを共有したい」と思って二次創作をしていた部分も大きかったので「原作は知らないけど楽しんでいます」なんて言われたら「それ、何をどうやって楽しむんだよ!?」とキレるのも致し方なかったかもしれません。

自分が望む形の楽しみ方しか認めなかったなんて、とても若かったと思います。

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コメント

  1. 匿名X より:

    はじめまして。結構長らく、時折拝読しております。
    私はおおよそヒロコさんと同年代で、買い専の者でした。
    滅多に意見や感想を言わないような人なので、ドキドキしながら書き込ませていただきます。

    いわゆる「作家買い」は、たまにしていたな…と、この記事を読んで初めて考えさせられました。
    好きな作家さんが興味を持っているジャンルなら自分にも合うかもしれない、と思いましたし
    最初は同ジャンルだからと思って買っていましたが、その作家さんが商業作家さんになり
    その作家さんのオリジナル作品を買って読んでいた…という事も自然にあったので
    ヒロコさんのお話が新鮮に感じられました。
    買い専の私にとってもレアケースな話ではありますが。

    自分が作家として認められるなんてあり得ない。
    原作者さんを差し置いて自分が認められるなんてあってはならない。
    自分はあくまで黒子なのだ…といった思い込みがあまりにも強すぎて
    そういったケースが認められなかったのかもしれませんね。
    といったお話なのかな?と思いました。

    私も若い頃は、あまり臆する事なく楽しんでいましたが
    読み専と作家さんとの隔たりを感じたのか、段々とフェードアウトしてしまいました。
    ヒロコさんのように過去を振り返りながら、さてこの先どう楽しんでいこうか…と考えている最中です。

  2. ヒロコ1号 より:

    >匿名Xさん
    はじめまして。私の場合、二次創作で好きになった作り手さんは、あくまで「そのジャンルで私の好みの二次創作を作ってくれるから」好きになったのであり、作り手さん自体のファンになったわけではない…ということを、ジャンル移動されるたびに痛感したものです。

    一番疑問だったのは「二次創作というのは原作のキャラや設定を知っていないと読んでも意味が分からないのに、原作を知らずに読んで楽しめるの?」という点でしたが、原作の内容を知らなくても楽しめる理由が、読み手さんの中にはあったのかもしれません。
    私には理解できなくても、その人の中では普通のことだったりするのでしょうね。

    確かに、私は趣味で二次創作をしていただけで、プロの作家になりたいとかは全く考えていませんでした。作り手のことを便宜上は「同人作家」と呼んでいても、じゃあ自分は「作家」なのかと言われたら、絶対に違います。
    ただ原作が好きで、一般の原作ファンとは違う楽しみ方をしていただけのド素人です。

    なので、同人の読み専と作り手の距離がそんなにあるとは思っていないのですが、過去を振り返ってみると、読み専の人の中には作り手に遠慮しているような人もいましたね。
    フェードアウトする理由はいろいろありますが、経験や年齢も関係があると思っています。
    高齢になっても元気に活動する人の凄さが、だんだん理解できるようになってきました。