同人界隈の新常識について

突然ですが、もしも私が同人活動を引退していなければ、今頃は活動三十周年を迎えることができていたはずです。でも、そうはならなかったんだ…と低みの見物なわけですが、数十年単位で同人活動を続けている人は、昔と今の変化に問題無く付いていけていますか?

私は、ネットが無かった時代はネットのようなものが出てくるとは思っていませんでしたし、個人サイト全盛期の頃はSNSのようなものが出てくるとは思っていませんでした。

十代の頃の私に「いずれ、家から一歩も出ずに同人誌を作れる未来が来る」と伝えても「いや、銀行に行って代金を振り込んだり、原稿を送るために郵便局に行かないとダメだろ!」と反論すると思います。いやーオンラインすごいわー初めてやった時感動したわー(´・ω・`)

そういったテクノロジー的な変化とか、同人マナーの変化などは、これまでもいろいろと感じてきましたが、近年は、もっと創作の根幹に関わるような部分が変わってきた感じがします。

たとえば、超大昔のボーイズラブ作品では「男を好きになってしまうなんて…どうしよう…」と悩む描写が普通にありましたが、令和時代の感覚だと「別にいいのでは?」となります。現実世界でそうなったので、創作物の中でも、それを変なことだと描写するのは古いという風潮になりました。

さらに、腐女子という言葉がもう古いという意見もありますし、今は私の知らない新しい言葉もたくさん生まれていそうなので、私はそろそろ本当に付いていけなくなったかもしれません。

確かに、腐女子という言葉は、決して響きが良いとは言えない言葉です。
でも、同人活動どころか、中学生以上になって漫画やアニメに真剣にハマっていたらキモオタだと迫害された時代に、それでも私は二次元や二次創作が何よりも大好きで、気持ち悪がられてもやろうと決めて、自虐だけでなく覚悟も込めてそう名乗っていたのだけどなと、少し残念に思います。

腐女子という言葉については、私がまだ同人をしていたら、界隈の中で意識をアップデートできたかもしれませんが、今の私は引退して何年も経っていて、二次創作妄想もできなくなり公式をそのまま見るだけなので、もう関係無くなってしまいました。

ただ、昔も、二次創作で他人様のキャラを勝手に男同士でカプにするのは「腐」だけど、一次創作のボーイズラブはそれが公式設定だから「腐」と言うのはおかしいかな?とも思います。
当時の私は二次創作しか眼中に無かったので、その辺がどうだったのか気になっています。

本当に、引退してから気になりだしたことが多すぎます。
まあ、活動している間は、自分が興味あること(活動ジャンル)しか頭に無いですからね。

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コメント

  1. ちさき より:

    こんにちは。今回も興味深い記事をありがとうございます。
    確かに時代が昭和から平成、そして令和に代わり、同人の世界でも当たり前だったものが、そうではなくなっているものもありますね。

    「腐女子」という言葉は、もともとは少年漫画などの二次創作BLを楽しんでいた女性オタクが「こんな妄想するなんて私たち腐ってるから腐女子だよねw」と自称したのが始まりだと聞いたことがあります。
    だから、それに即するなら確かに「性的嗜好がストレートもしくは設定されていないキャラクターの二次創作BLを楽しむ女性」は腐女子ですが、そうでは無く「はじめから男キャラクター同士の恋愛模様が描かれる作品」を楽しむ女性は腐女子とは言えないことになりますね。
    LGBTQという言葉が浸透してきた令和の時代に、後者を表す言葉ができてもいいと思うのですが、現実ではまだBLを好む女性は皆「腐女子」と括られるのもおかしな気がします。

    私は二次創作では異性愛のノーマルカップリング(NL)を好んでいるのですが、このNLという言葉も、「異性愛がノーマルならばその他の性的嗜好はアブノーマルということになってしまうので、今後はHL、ヘテロカップリングとするべきだ」という意見を耳にしたことがあります。
    実際どうかと言えば、HL表記も目にしますが、HL(NL)の様に併記されていることも多くて、HLが完全に浸透しているかと問われると答えは?なので、新しい考え方は出てくるけれど、昔からの概念を改めるのはなかなか難しいのか、もしくはちょうど過渡期にあたる時代なのかもしれないなと感じています。

  2. ヒロコ1号 より:

    >ちさきさん
    こんにちは。大昔の腐女子の多くは「自分たちの妄想は世間から見れば変なものだけど、それでも自分たちはそれが大好きで、叩かれてもやめることはできない」という事実を受け止めた上で、自分たちを「腐女子」と言っていました。理解の無い人達から攻撃される前に「どうせ腐っていますから!」と予防線を張るためでもありました。

    ですが時代が進んで、オタク文化そのものに対する風当たりが昔ほど厳しいものではなくなってきて、BL創作に対しても、昔ほど酷いことは言われなくなりました。
    それでも二次創作はいろいろと問題があると言われていますが、一次創作の同性愛描写は別に特殊なものではないというのが、今の時代の感覚ですよね。

    異性愛のカップリングについては、私は現役の頃から「ノーマルカップリング」という言葉に個人的に違和感があったので、自分では「男女カップリング」と言っていました。
    でも、ノーマルという言葉も、使っている人が多くて界隈に浸透しているため、他の人がノーマルという言葉を使っても、別に悪印象を持つことは無いという感じでした。

    ヘテロカップリングは、言葉の意味としては正しいと思いますが、パッと見て分かりにくそうなイメージなのが、浸透しにくい理由かもしれませんね。
    昔からの概念を改めるのは難しいけど、今は本当に過渡期が来ているように感じます。

  3. 匿名 より:

    はじめまして。ブログを時々拝見しております。
    最近の同人界隈で、昔と比べて一番変わったと感じることは、二次創作と金銭に関する感覚です。

    昔は、同人誌が有償なのは、印刷などのコストがかかるためその原価を負担して頂くという建前で、そのため「販売」ではなく「頒布」と称していたと記憶しています。
    つまり、二次創作はファンアートであり、お金を稼ぐ手段にはしていませんという暗黙の了解があり、対外的にもそうアピールすることで、ある種の「お目溢し」を頂いていたという意識があったと思います。

    ところが最近は同人活動の一環として、版権キャラの二次創作グッズを製作販売したり、ココナラやSkebなどの依頼サイトで、版権キャラの二次創作デジタルイラストの依頼を募集し、対価を受けて描くという同人絵師やサークルが出てきています。
    これは驚くべきことでした。もちろんオリジナルイラストなら何ら問題ないのですが。

    二次創作というのはあくまでもファンアートであり、子供の頃に好きな漫画やアニメのキャラの絵を描いて楽しんだ経験がありますよね。そうした楽しみの延長線上にあるものだと考えていました。
    しかし最近は、缶バッジやアクスタなどのグッズを小ロットから受注製作する業者のサイトや、ココナラやSkebのような依頼サイトが出現したことで、「同人で稼ぐ」ことのハードルがぐっと下がりました。依頼サイトで「お好きな版権キャラを1枚◯千円で描きます」という文面を見たときは本当に驚きました。

    同人の二次創作は、作品を愛する人々のファンアートとして始まったと信じておりますが、最近は二次創作で稼ぐことに抵抗がない風潮が強まっているようで、違和感があります。例え時代の変化と言われようと、個人的には受け入れ難い変化です。
    どんなに絵が上手くても、そのあたりの意識が相容れない方は、その方の絵まで受け付けなくなってしまいます。それはどうしても仕方の無いことと感じます。

  4. ヒロコ1号 より:

    >匿名さん
    はじめまして。二次創作と金銭に関する感覚については、私も匿名さんに同意です。
    版権キャラの二次創作グッズや有償依頼については、私も驚いている状態です。
    昔だったら、やるとしてももっと隠れてやりますよね。まあその辺は、SNSが登場した時点で隠れるという概念は無くなったみたいなので、もう仕方がありません。

    昔も、大手さんは利益が出ていましたが、昔の大手さんは最初から儲けようと思って同人を始めたわけではなくて、他の人達と同じように楽しんでいたら、人気が出て結果的に儲かってしまったという感じだと思います。でも今は、最初から儲ける目的で大手を目指して、自分の好きなジャンルではなく売れるジャンルで活動しようとする人も増えています。

    だけどそれは、私がもう同人界隈の外にいるから、そういう考えを表明する人が多く目に付いてしまうのかもしれません。実際は、そんな流れには乗らずに昔ながらの同人活動を楽しんでいる人達も、ちゃんと存在していると信じています。
    私がまだ活動していた頃も、私の周囲にいた人達はお金目当てではありませんでした。

    今は二次創作のガイドラインを用意している公式もあるので、それを守っているのなら問題無いと思いますが、そもそも今の空気自体が合わないと感じる人はツライですね。
    私は既に引退しているので、今後どうなっても関係無いのですが、匿名さんが仰ることは理解できます。時代の変化とはいえ、悲しいものは悲しいです。