講座を見て絵を描いてみた結果、気付いてしまったこと

今の時代は、絵の描き方もネットで調べれば分かりやすい講座がたくさん出てきます。
正直、有料の教本を買わなくてもネットの無料講座だけで何とかなるのでは?と、浅はかな私は考えてしまうのですが、その辺は有識者の意見を伺いたいです。

そんな便利な時代が来ても、以前の私はお絵描き講座にまったく興味を持ちませんでした。
同人をしていた頃は、講座を見て練習や勉強をしようという気は一切無くて「そんなことより推しの二次創作だ!!」という気持ちで頭がいっぱいでした。

同人を引退してからやっと「ヒマだから講座でも見てみるか」と思いまして、ネット上の「シャボン玉の描き方講座」みたいなやつを見てシャボン玉を描いてみました。
ヘタレのため完全にお手本通りには描けていませんが、一応それっぽくはなりました。
シャボン玉以外の部分は、その場の思いつきでテキトーに描き足しました。

次は「空と雲の描き方講座」みたいなやつを見て空と雲を描いてみました。
ヘタレのため完全にお手本通りには描けていませんが、ギリギリ空に見えるかもしれないという感じではあると思います。空以外の部分は、その場の思いつきでテキトーに描き足しました。

でも、あとで考えてみたら、シャボン玉や空はフリー素材やAIを使ったほうがもっとキレイで早かったのでは?と気付いてしまいました。便利な講座よりさらに便利なものが、今はあるのです。

デジタルが無かった時代は、アナログ画材で空や雲などをキレイに描ける人は貴重な存在で、その技術はすごいものだったはずなのです。でもデジタル時代に突入して、AIが登場して、昔の知人のアナログ絵師さんの絵を思い出して「今ならAIで似たような画像作れるよな」と思ってしまって、その事実はたとえ生理的に受け付けないものであっても、やはり事実なのだと思い知らされました。

さらに「かわいい女の子の描き方講座」も、ネットで検索するとたくさん出てきます。
確かに、多くの人が「かわいい」と感じるバランスや、今流行りのバランスには、一定の法則があります。でも、みんながその講座を見てその通りに描いたら全員同じ絵になるのでは?と思うと、それでいいのか?とか、AIの量産型絵を笑えないのでは?とツッコんでしまいます。

いわゆる量産型絵でも、本当にその絵柄が好きで描いているのなら良いと思います。
でも見る側は、描く側が何を思って描いているかなんて分かりません。何も考えずに描いている量産型絵なのか、本当に好きだから描いている量産型絵なのかという区別はつきません。
自分で描いたものなのか、素材やAIを使ったものなのかという区別もつきません。

今の時代は「たとえそうだとしても、自分で描く作業そのものが楽しいから描く」と思える人間でないと、モチベーションを保つのが難しそうです。
私は引退者でヒマなので、今後ものんびりと自分で描くつもりです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. うさぎ より:

    こんばんは、私も背景は素材やらを使った方が出来が良くなるのはわかりつつ全部自分で描いてしまうので共感しました。
    なんとなくその方が「自分の絵」って感じで愛着が湧くとうのもあるし、素材を使おうとすることもあるけど、そこだけ綺麗すぎて決して上手い方ではない自分の絵にはなじまない気がして(それも上手くやればきっと馴染ませるのは可能なのでしょうが)結局自分で描くという。

    私やヒロコさんの絵を描き始めた頃は今ほどカラーイラスト用の素材なんかが充実しておらず自分で全部描くのが当たり前だったから、そういうやり方が馴染むのかなぁとも思います。同じ素材でもスクリーントーンの背景効果なんかは自分の描き始めた頃からあったので抵抗なく使えますし。
    もちろん同年代でももっと意識高くやり方をアップデートしていく方々もたくさんいるかと思いますが、趣味ですし、自分が心地よかったり楽しいと思えるやり方でやるのが一番ですよね。

    それにしても近年のお絵描き界隈のクオリティーインフレみたいなのが本当にすごくて、特にこれから絵を描き始める人たちは当たり前のようにハイクオリティ素材やAIなんかを使いこなしていくのでどうなっていくのだろうなぁと、なんか別世界のことを見るような気持ちで創作界隈の片隅から眺めています。

  2. ヒロコ1号 より:

    >うさぎさん
    こんばんは。結局、自分の個人的な感覚の問題になるのですが、私もできるだけ素材に頼らないほうが「自分の絵」だと思えますし、うさぎさんと同じで、素材を使おうとしても素材が綺麗すぎて自分の絵となじまない気がしてしまいます。

    スクリーントーンも、普通の網点や背景効果はともかく、建物や自然などの風景の絵のトーンも当時ありましたよね。あれはちょっと使う気にはなりませんでした。トーンの絵と私が描く人物の絵が合わなさすぎてギャグみたいになるし、あれなら下手でも自分で背景を描いたほうが良いと思っていました。今の素材やAIに対する気持ちはこれに近いかもしれません。

    現役の人がその時代にあるものを使いこなすのは当然のことですが、それでもやはり、トレス素材を使って描いている人と、それを使わなくても上手く描ける人なら、後者を応援したいと思ってしまいます。でも、完成した絵だけを見てもその区別はつかないので、高い技術を持っている人ほどバカバカしい気分になってしまわないかと、勝手に心配しています。

    私はもう引退したので、何を使うか使わないかも含めて、自分の好きなようにやります。
    同人をしていた頃もめちゃくちゃ好き勝手していたつもりですが、今のほうがもっともっと自由だと感じていて、その解放感がすごすぎて自分で驚いています。

  3. フォルフォル より:

    こんにちは、どちらのイラストも素敵です!女の子達が可愛いです。
    シャボン玉も雲も描いてみると難しいですよね…。

    私も昔は講座はあまり読まない見ない派でしたが、ここ2、3年は講座動画や教本で学ぶようになりましたね…。最近は有料レベルの講座動画も無料で視聴できるからいい時代になったなぁと思います。素材も有料無料問わず豊富ですよね。私もお絵描きアプリの素材にお世話になってます(笑)自分の絵柄とのすり合わせは大切ですね。
    確かに素材やAIを使った方が早くてキレイになりますし、AIの権利問題が判明するまでは多少は創作に使えるかなと私も思ってました。しかし、画像生成AIの仕組みと学習データが無許可に集められたものだと分かってからは考え方が変わりました(どんなものが使われているかは調べたら分かります)
    クリエイターのイラスト以外の画像もデータで使われていますが、その内容を見ると結構胸糞悪かったです。
    AIイラストも権利問題があったり破綻が多いので創作では使えないです。今までどおり人が描いた素材を使ったり自分で描こうと思うようになりました。

    描き方や講座を学んで流行りの絵柄で描いたとしてもやっぱり人が描いた絵ってどうしても癖は残ってしまうかと思います。
    自分が想いをこめて描いたつもりでも見る側には伝わらないことがあったり…逆のパターンもあったりで色々難しいですね。ただ、AIイラストの登場で絵を細部までじっくり見る方も増えたのではないのかなぁと思います。

    ヒロコ1号さんの絵、素敵なので今後も楽しみにしています。
    長文失礼しました。

  4. ヒロコ1号 より:

    >フォルフォルさん
    こんにちは。イラストを褒めてくださってありがとうございます。同人をやめて交流をみずから断ち切った状態でも絵に感想がもらえるのは、とても有難いことです。
    シャボン玉の描き方も雲の描き方も、講座が無ければ自力では何も分からなかったので、講座の説明通りにやってみて描けた時は本当に感動しました。

    画像生成AIについては、調べれば調べるほど「面倒くさいので関わらないのが正解」と感じてしまいます。あまり詳しくなかった頃は「他人の絵を無許可で学習させている」という情報くらいしか知らなかったのですが、よく考えたらその一点だけで普通にアウトでした。

    私は、AIを使うなら、自分の絵だけを学習させたAIに新しいアイデアを出してもらって、創作に役立てることができたら良いなと考えていました。でも実際に出てきたのは、他人の絵を学習させたAIで作った画像を、変な部分があっても修正もせずに出してくる人達でした。
    これではイメージが悪いのも仕方がありませんし、今後治安が良くなるとも思えません。

    確かに、AIイラストの登場で、他の人の絵を嫌な意味で細部まで見るようになってしまったかもしれません。手描きで下手なのとAIの破綻って、やっぱり違いますよね。
    実のところ、AIイラストのせいで酷い目に遭っているのは、下手な人ではなくAIと間違えられそうな絵柄の人だと思います。私は全然関係無いので安心して過ごしています。

  5. うさぎ より:

    こんにちは、度々すみません、ヒロコさんの返信の「建物や自然などの風景の絵のトーン」のくだりで笑ってしまいました。
    私もあの手のトーンは漫画を描き始めた最初期に「これ使ったら背景描かなくてもいい!」と期待して使ってみたものの自分の絵からの浮きっぷりに「ないわ…」と思って以降存在さえ忘れてしまっていました。
    たしかに素材やAIに対する気持ちはまさにあれと同じ感覚ですね…!

    それからヒロコさんの描かれた漫画のことを思い出すとそういえば効果トーンさえほぼ使われていませんでした。でも、あのシンプルさがとても好きです。
    私は自分の絵に自信が無くて、以前まではなるべくトーンを貼って少しでも見栄えを良くすることに注力していたのですが、ヒロコさんの描かれた漫画に影響を受け、今は使うとしてもなるべくシンプルな効果だけにしようと思っています。その方が時間もかからないし、漫画の本質の部分に集中しやすいので、前よりよくなった気がします。

    AIを使わなくてもハイクオリティな絵を描ける人がバカバカしくなるのでは?というのは私もよく考えます。AI問題は色々複雑な気持ちになりますね…個人的にはAIの絵はキレイだとは思いつつも、これは!と心に刺さった絵は今まで1枚もないので、できればこれからも人の手で描かれたイラストが見たいです。

  6. ヒロコ1号 より:

    >うさぎさん
    こんにちは。あの背景トーンは、登場した時はすごいと思いましたが、実際に多用している人はあまり見かけなかった記憶があるので、やはり私達と同じように感じた人が多かったのではないかと思います。漫画の内容はシリアスなのに、明らかにその人の絵じゃない背景が貼ってあってめちゃくちゃ浮いていたら、それだけで面白い画面になってしまいますよね。

    ところでうさぎさん、私の漫画をすごくよく見てくださっていて驚きました。
    私は、漫画歴が長くなればなるほど、網点とグラデーション以外のトーンはあまり使わなくなっていって、効果トーンはよほど必要だと判断した時しか使いませんでした。画面の華やかさよりも見やすさを重視した結果ですが、まあ普通に地味すぎるという欠点もあります。

    AIの絵は、私も初めて見た時はすごくキレイだと思いました。あれが、ああいう絵柄をご自分の手で描かれている絵師さんだったなら、間違いなく神絵師です。でもAIだと知ったら「なーんだ」とガッカリして、その後何度も似たような絵が出てきたら「またこの絵柄かよ」となってどんどん冷めていったのが、自分でも少し不思議です。