私が同人を始めたばかりの頃は、自分の好きなキャラやカプを生産してくれる人は全員神だと思っていたものです。当時はまだネットが無くて、それほどいろいろな作品に触れる機会も無かった時代だったので、狭いコミュニティの中で数少ない作品を有難く受け取っていました。
私が初めて「同カプ解釈違い」というものに出会ったのは、個人サイトが登場した頃です。
自分の好きなカプのはずなのに、なぜか萌えない、違和感がある、コレジャナイ…という感覚を初めて味わった時は、とても不思議な気分でした。
少し気に入らない程度ならスルーできましたが、不快感が強い場合はとても苦しかったです。
もしかしたら、ネットが無い時代にもそういう体験をして苦しんだ人はいたかもしれません。
でも、いろいろと表に出てきたのはネットが普及してからのような気がします。
ピクシブが登場してからは「世の中にこんな性癖があったとは」と驚くことも多くなり、萌えと不快の狭間で翻弄されるようになりました。その激しいアップダウンを経験すれば、もう「生産してくれる人は全員神」なんてことは決して言えなくなりました。
好きなキャラのこんな気持ち悪い描写は見たくないとか、ヘイト創作と区別が付かないというか「ヘイト創作」という形式自体が何なんだよとか、私以外にもそんな思いをしたことがある人はいるはずです。このあたりで「同じキャラやカプが好きな人=仲間」という図式は崩壊しました。
もともと戦っていた対抗カプ者などに加えて、本来味方になってくれるはずの同カプ者の中からも敵が現れるという、とんでもない時代が来たものだと思いました。
ですが、当時の私は今と違って元気いっぱいだったので、そんな状況も結構楽しんでいました。
全体を把握しきれないほど大規模なカプでもない限り、同カプの作り手の行動はすべてチェックしていました。私と解釈違いな人がピクシブに作品を投稿すると、私も負けじと自分の作品をぶつけるように投稿しました。そして、その人よりも多く評価ブクマをもらうと大変気持ち良かったです。
個人サイトしか無かった頃はそこまで露骨なことはしませんでしたが、同じフィールドで点数が付くピクシブではどうしても熱くなってしまいました。頭がカーッとなって、早く作品を仕上げて相手より多く評価ブクマをもらうぞ!みたいな感じで日々描きまくっていました。
直接人間を殴った経験のある腐女子は少ないと思いますが、相手の解釈を否定するために作品をぶつけ合うバトルなら、している人も少なくないはずです。物理的なケガは無いけど心にダメージを与え合い、それでも(自分の脳内の)推しの幸せを表現するのです。
もちろん、作品バトルではなく言葉で言い争う場外乱闘も経験しましたが、昔の知人の中に「嫌いな解釈に対抗するために、自分の好きな解釈の作品を自分で描いて増やす」「解釈違いへの憎しみが私の創作意欲になる」と言っていた人がいて、本当に精力的に作品を作っていたので、私も「やはりそれが立派なやり方だなあ(・∀・)」と思っていました。
今振り返れば黒歴史な気もしますが、当時は真剣でしたし「何かに一生懸命になった」という経験自体は尊いはず(?)です。今の私なんて、何に対しても必死になれなくなった屍なので。
閲覧者から見れば、ただいろんな作品が次々と投稿されているだけの光景も、もしかしたら水面下ではこんな戦いが繰り広げられているかもしれません。だから何だという話ですが。
コメント
オメガバースはどのジャンルでもめちゃくちゃ人気ありますね。商業作品でも描かれていることがネットの広告からもわかります。自分は「女キャラや女体化じゃなく、男のまま妊娠させる意味とは?」と思ってしまいますが、きっとオメガバースにしかない魅力があるんでしょうね。
自分の好きなジャンルは最近風俗ネタ(男のお触りバーやピンサロなど…ここに書き込んでいい単語かヒヤヒヤしますが)が増えています。多分Twitter上で流行っているんでしょうが、過激で露骨なエロに正直食傷気味です。つかなんで流行ってるんだよ…(苦笑)
解釈違いですが私の筆力と熱意では倒せる気がしません(笑)
なのでこんなのもたまにはいかがですか、と自分の好きな全年齢ものを好きな時に上げています。
>オタクさん
公式の世界にオメガバースの概念があって、その二次創作としてオメガバースを描くのなら分かるのですが、まったくそんな世界観ではない作品の二次創作で当たり前のようにオメガバースが出てくると、正直ついて行けません。オリジナル作品ならアリだと思うのですが。
エロネタは一度流行すると勢いが付いて、実際はそこまでエロ好きではない人まで、つい釣られて参加してしまうということも起こります。自分の意思でエロに走るならいいのですが、周囲に流されて描いた場合、頭が冷えた時にとても虚しい気持ちになり、描いた作品がすべて黒歴史になってしまいます。同人活動でもブレないでいることは大事です。
まさしく「こんなのもたまにはいかがですか」という感じで自分の作品を出せばいいと思います。私は、ほのぼのした作風が多いジャンルでエログロが好きな人にも出会いましたが、そういう人達もそうしていました。周囲に流されることだけはあってはならないですね。
自分は根っからの腐女子ではなく、キャラクターが魅力的なら百合も男女カプも好きなので、「男と男じゃなきゃ駄目」みたいなオメガバースには違和を覚えるのかもしれません。
(もちろん絵や文章の上手さ、内容の良さも作用するでしょうが)18禁作品だから「とりあえず見てみよう」となる読者は多いようなので、閲覧数や評価数を見込んで特異なエロに走る作者もいる気がします。
私はTwitterやってないし、あまり交流もしないし、筆力が足りないせいなのか、閲覧やフォローをされても評価やコメントをいただくことが少ないので、正直ジャンルではいらない奴かもしれません(笑)が、迷惑をかけない程度に我が道を行きたいと思います。
ヒロコ様、返信ありがとうございました。
コロナにはお気をつけください。
>オタクさん
私も別に男同士でなくてもいいと思っていますので、やたら女性キャラを排除しようとする人は苦手でした。腐女子でもそういう人は意外と少なかった記憶がありますが。
私は同人も引退して、年齢も年齢なので、今更「18禁だから」という理由だけで見たいとは思わなくなりましたが、言われてみれば20代の頃は、18禁を読んだり描いたりする時は妙に興奮していました。それを考えるとやはり、エロというだけで閲覧数は稼げるのでしょうね。
閲覧数が増えると喜ぶ人もいましたが、個人的には閲覧数より評価数のほうが重要だと思っていたので、私は評価数のみチェックしていました。少しでも反応があるなら、需要無しということは無いと思います。今は家にいることが多いのですが、コロナにも気を付けますね。
うおおっ……何を負けじとと取り組めたのは推しカプ愛あってこそですね!
私は大手絵師さんとの解釈違いがあって界隈から除け者にされてしまい、知り合いが彼女からちやほやされている中で孤立したような状態なので辛いばかりです。
でも数は少ないながらも「あなたの書く作品の優しい雰囲気が好きですよ」と応援して下さる方もいるので、何とか頑張ってゆけています。
ヒロコ1号さんこんにちは。
先日このブログを見つけまして、楽しく拝見させていただいております。
楽しくといっても、私自身も2次創作活動にTwitterを利用していた時に感じていた”疲れ”が、ヒロコさんが冷静に言語化してくれたことで「あるある!!」と、少しだけ楽になったという感じです。
今は殆ど交流をせず、絵や漫画とお知らせくらいのアカウントですが、近いうちにTwitterをやめようと決心できました。
失礼ながら、他の方のコメント返信も拝見してしまいまして「憎しみから生まれた創作意欲はもの凄いパワーを秘めている」という言葉に大変、それはもう本っ当に同感致しました…。
つい最近までは2次創作は「もうやらないだろうな」と思ってたのですが、
好きなゲームのキャラクターが露骨に過激に扱われる風潮がきっかけで再開してしまいました。そのキャラクターは特別好きではなかったのですが、あの創作意欲は明らかに「許せん」とか「怒り」「憎しみ」でした。
なんだかんだ絵や漫画を描いてる時間は楽しくて、落ち着きましたが(私も界隈も)今思えば、どこからあの力は出てたんだろう…とポッカリ穴が開いたような気分になります。
自分はBLやエロ、あと交流が好きな訳でもないと確認できましたし、ヒロコさんのブログに出会えたおかげで、今度こそ本当に疲弊しきってしまう前にやめようと思えました。
女性向け同人界隈は、中学校の女子グループに似てるな。と思っていたのですが、ここに集った方々のことを知れて、あながち間違いでもないのかも、と救われました。
長々と自分語りをしてしまいましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました。
ヒロコさん、どうぞお体に気をつけてお過ごし下さい!
>プレ745さん
同人活動って、始めたばかりの頃は「自分の好きなものを描いて楽しむ」だけのものだと思っていましたが、推しが好きであればあるほど、血で血を洗う戦いになると分かりました。
大手さんとの解釈違いは大変ツライ状況ですが、それでも応援してくださる人がいるということは、プレ745さんの作品も充分魅力があるのだと思います。そうでなければ、みんな大手さん側に流れてしまうでしょうから。愛が続く限り、何とか頑張って欲しいと思います。
>匿名さん
こんにちは。過激なネタを持ち上げる風潮は昔も一応ありましたが、ツイッターが登場してからは異常に酷くなってきた気がします。でも、そういう状況で怒りに燃えて自分の二次創作をしまくるのも、ハイな気分になって楽しかったりするんですよね。落ち着いた後はちょっと燃え尽きた感じになりますけど、頑張ったことは決して無駄にはならないはずです。
私は多分、BLもエロも交流も好きだったと思うのです。それでもツイッターで疲れて、何故疲れたのかと何年もかけて考えて、その疲れの正体を言語化することに挑戦してみました。
私は確かに「これを読んで誰かが楽になれればいいな」と思ってツイッター関連の記事を書きましたので、実際に誰かが少しだけでも楽になれたのなら、書いた意味がありました。
ちなみに「中学校の女子グループ」ってよく使う表現ですが、私も他のオタク女達も当然女ですし、中学生の頃からそこまで精神が成長してるかと言うと別に…って感じだし、同人界隈に限らず女のグループなんてだいたいそんな感じでいいのではと、今の私はそう思います。
まあ、私はもうそんなグループにも戻れなくなった身なのですけど。
疲弊しきる前にやめることができれば、次の道への切り替えもスムーズになると思います。
このブログが少しでもお役に立てたのなら良かったです。