私は同人をしていた頃、自分の二次創作を作ることだけでなく、同ジャンルや同カプの他の人達の作品を見ることも大好きでした。イベントや通販で他のサークルの本を買いまくり、個人サイトやピクシブや他のSNSなども毎日巡回していました。
作品の数が少ないマイナージャンルは、本当にジャンルの作品を全部チェックしていました。
毎日、目を皿のようにして、気になるものはひとつも見逃すまいと必死でした。
私は、特定のジャンルやカプにハマったなら、こうするのが「普通」だと考えていました。
でも中には、他の人の作品は見ないという作り手もいて、それを知った時はとても驚きました。
若い頃の私はこれが本当に不思議で「それって同人の楽しみが半減するのでは?」と思っていたのですが、歳を取るとその考えも一理あると思えるようになってきました。
作り手側の場合、自分の好みに一番合っているのは自分の作品なのだから、他人の作品は不要という考え方もあるでしょう。他人の作風の影響を受けたくないという場合もあるでしょうね。
あと、地雷がやたら多い人は、気軽に他人の作品を見るのは確かに危険かもしれません。
そう考えると私は、現役時代は地雷や解釈違いがどうこうと言っていたこともありましたが、基本的にはいろいろな作品を受け入れられるタイプだったのではと思います。好みではない作品を見つけて腹が立ったこともありましたが、ほとんどはトラウマになるほどではありませんでした。
私が本気で耐えられないほどの地雷な作品を描いた人は、二十三年間の同人人生の中で二人だけしかいませんでした。同ジャンルや同カプの作品を毎日隅から隅までチェックしていてこの確率ということは、私って実はめちゃくちゃ許容範囲が広かったのでは?と、今振り返るとそう感じます。
真の地雷を踏んだ時は心が木っ端微塵になったけど、そこまでの経験は二十三年間で二回だけ!
それ以上に萌える作品にたくさん出会えたので、見ることはやめられませんでした。
ピクシブなどで評価やブクマが少ない作品でも自分には刺さる場合があるので、そういった作品を見逃さないためにも、毎日の巡回は欠かせませんでした。個人サイト時代に、サーチに登録していない素敵サイトをリンクを辿って見つけ出した時はとても嬉しかったです。
同人をやめる直前の数年間は、交流から離れて壁打ちになっていましたが、それでも他の人達の作品は全部しっかり見ていましたし、本も買っていました。
私は自分の同人人生において、自分の作品を作ることも、他の人の作品を見ることも、感想をもらうことも送ることも、交流やオフ会をすることも、壁打ち体験も、全部思いっきり満喫しました。
こうなると、コスプレだけはしなかったのが少し惜しいなと思ってしまいます。
今の結果がどうであれ、この思い出は間違いなく私の生涯で大切なものです。
コメント
ヒロコさん、こんばんは。いつも、興味深く記事を拝見しています。
私はまさに、自分が創作する側になるとほかの人の作品がいっさい見られなくなってしまうタイプです。私は逆に、創作をしながら他の人の作品も楽しめる人のことが不思議だったので、今回そちら側のお話を聞けておもしろかったです。
「(他作品が読めないと)同人の楽しみが半減するのでは?」とおっしゃっていますが、本当にその通りで、他の作品を読みたい! とは思うのですが、読後ダメージを受けるのが目に見えているのでできませんでした。自分が創作していると、謎のこだわりがでてしまうんですよね。そう考えると、ロム専としていろいろな作品を読めていた時のほうが、自分にとっては気楽に同人を楽しめていたのかもしれません。でも、二次創作せずにはいられないほど、はまる作品に出会ってしまったら理屈じゃないんですよね……
いつも楽しく拝見しております。
興味深い記事だった為コメントいたしました。
自分は描き手ですが、他人の作品は見ない側の人です。
同人を始めた頃は自分で二次創作をしつつ他人の作品も読んで楽しんでいました。
しかし次第に自分より良い作品を作る人や交流を盛んにしている人を見ると激しく嫉妬して落ち込む様になり、他人の作品を見ることが辛くなっていきました。
同担拒否ならぬ同ジャンル拒否という状態です。
自己肯定感が低く他人と比べがちな自分の性格にも原因があると思います。
とにかく感情を大量消費して疲れたくない、それなら自ジャンルの二次創作は一切目に入らない様にしよう、というのが今の状態です。
確かに同人の楽しみを存分に味わえていないなと思います。でも心が騒ぐよりは…と考えると、もう最初の頃には戻れないだろうと感じています。
自分もそろそろ引退が近いなと思います。せめて今好きなジャンルで描きたいものは全部描ききってから身を引きたいです。
長文失礼致しました。
>雨さん
こんばんは。ロム専の時は他の人の作品を読めていたけど、創作する側になると読めなくなるというのはよく聞く話ですね。私はロム専の時も創作する側になっても、好きなジャンルやカプの二次創作はすべて見つくしたいと思っていました。数が多いカプにいた時は本当に大忙しだったので、他の人の作品を見ない人のほうが落ち着いて創作に専念できると思います。
他の人の作品は自分の解釈と完全に一致はしませんが、よほどのことが無い限り自分の創作とは別腹で楽しめていました。気に入った作品と気に入らなかった作品なら前者のほうが圧倒的に数が多かったので、私は多少の危険をおかしてでも他の人の作品を見たかったです。
でももし気に入らない作品のほうが多かったら、考えが変わっていたかもしれませんね。
>薬草さん
言われてみれば、私も周囲に自分より上手い人がたくさんいましたが、私はそれで他の人を羨んだことはあまり無いのです。今思えばこれは不思議なことだったかもしれません。
私より人気な人もいたけど、私は私で実力以上の評価をもらえていたのでそれで満足していました。ツイッターで疲れきるまでは、交流にも不満はありませんでした。
感情を大量消費することについては、昔はそもそもそんな風に考えたことがなかったし、毎日目まぐるしくいろんなことを感じていても、それを苦痛だと思ったことはなかったです。
ネットやSNSを何年も使いまくって初めて「これはもしかしたら疲れることなのでは?」と学習しました。そのことに気付いてしまうと、なんだか一気に力が抜けました。
今となっては、同人もそれぞれに合ったやり方があると思いますので、自分が穏やかでいられるのが一番です。引退も、気分良く満足して引退できるようにしたいですね。
こんにちは。いつもブログ楽しく拝見させて頂いています。
(以前別の記事に別HNでコメントもさせてもらいました)
あくまで私の経験ですが……
『余所様の作品を楽しむ』というのはサイト時代はそれが普通で当たり前でした。
というより好きなサイトさんが更新される度にワクワクしながら作品を楽しんでいましたし、次の更新が待ち遠しかったです。これは自分が創作する側になっても同じでした。むしろそこで萌えを補給して、自分の作品作りに繋げていました。
『自分が創作する側になった途端、余所様の作品が見られなくなった』現象が圧倒的に多くなったのはSNS時代に入ってからです。
作品そのものよりもそこに付随してくる数字・評価・いいねだったり、好きな作り手さんの人柄・交友関係がツイッターで丸見えになるなどして、徐々に作品そのものもダメになるパターンが非常に多かったです。
それに同ジャンルの人が数字をたくさん取っていたりすると、自分の表現したいものよりも数字を意識してしまって創作欲も削がれてしまうんですね…
地雷に関してもサーチなどは探す段階で細かくカテゴリーされていたり、サイトでも取り扱いキャラ・カプごとに管理人さんが分けてくれていることが多く、何とか踏まずに済んでいたように記憶しています。
自分にとっての地雷カプを取り扱っているサイトさんもあったのですが、サイト作りが丁寧で愛情がこもっており、原作を深く読み込んだうえで二次を書かれている管理人さんだったので、逆に感化されてしまった経験もあります(笑)
全て『昔はよかった』と言うつもりはありませんが、余所様の萌えの詰まった二次創作を楽しむという点においてはサイト時代の方が楽しかった…と思ってしまいますね(苦笑)
それでは乱文失礼致しました。
>Kさん
こんにちは。確かに、サイト時代とSNS時代でそういった違いはあるかもしれませんね。
私も昔は、お気に入りのサイトがたくさんあって「今日は更新されているかな?」と毎日ワクワクしながら巡回していました。交流があるサイトは相互リンクで繋がっていましたし、交流が好きではなさそうな壁打ちサイトさんはこっそりブックマークしていました。
地雷も、サイトだと先に注意書きがあったりするので、SNSのように予告無く見せられる不快感を味わうことはあまり無かったですね。それに、嫌いなカプのサイトでも、管理人のジャンルに対する愛はきちんと伝わってきたので、その点は憎めませんでした。
SNSは、本当にジャンルが好きなのか分からない人間が混じっているのが不気味でした。
私の場合「自分が嫌いな作風」で「自分より評価をもらっている」ものには激しく腹が立ちましたが、その条件を両方満たしている作品が滅多に無かったため、SNS時代になっても他の人の作品は楽しめていました。人気がある作品は私も気に入ることが多かったし、私が嫌いな作品は界隈でもウケないことが多かったので、その辺のストレスは少なかったです。
でもやはりSNSは、作者の作品以外の情報(だいたいイメージダウンに繋がるもの)が見えすぎて冷めることがよくありました。サイト時代もそういうことが全く無かったわけではありませんが、これに関してはSNSが酷すぎて、サイト時代の思い出が美化されてしまいます。
純粋に同人を楽しむことについては、どうしても「昔は良かった」になってしまいます。