オタクの雑談

昔はできていたけど今はできなくなったことの話

人間は、子供から大人へ成長する時は、できなかったことができるようになっていく過程にテンションが上がるものですが、人生折り返し地点に来ると逆の現象が起こり始めます。私が、昔はできていたけど今はできなくなったこととして真っ先に思い浮かぶのは「漫画を描くこと」です。

まず「ネタが思いつかない」という致命的な現状があるわけですが、もしもストーリーのアイデアがあったとしても、プロットを作って内容を整えて、ネームを作ってコマ割りをして、下描きとペン入れと仕上げの作業を何ページも…と考えると、想像しただけで死にそうになります。
四コマ漫画などは作画作業はラクですが、それもネタが思いつかなければ何も描けません。

同人をしていた頃は二次創作漫画をたくさん描いていましたし、まだ同人や二次創作を知らなかった頃は雑誌にオリジナル漫画を投稿していて、数十ページの漫画を月に一本仕上げるという生活を送っていました。当時の私は、それを大変だと感じることもなく楽しんでいましたが、今はどんなにヒマな時間があってもそんなことは不可能です。

年齢による体力的な問題もあるでしょうが、一番重要なのはやはり気力です。
私より高齢でも、やる気があってオタ活や創作を頑張っている人もいます。
私は同人を引退して以降、脳がバラバラになったような感覚で頭がボンヤリしていて、若い頃と比べて知能が著しく低下して、日本語能力もなんかヤバくなりつつあります。

本当に、過去の私はどうして漫画なんて描けていたのか不思議です。
あと、そんなにたくさん描いていたのに絵が上達しなかったことも別件でヤバイです。
漫画を描けなくなって何年も経ってから、漫画を描く大変さを本当に理解した気がします。

昔、大学の後輩が「商業誌で面白くない漫画があっても、そんな漫画でも原稿を完成させるのには大変な労力がかかっていると考えると、批判しづらくなる」と言っていました。
これは完全に、漫画を描く側というか、自分で描いたことがある人間の感覚ですが、今になってますます身に染みる言葉になりました。もう完成させているだけで偉いと思います。

よく「他人と比べるな!過去の自分と比べろ!」という言葉が、何となく名言っぽい感じで叫ばれることがありますが、いや、過去の自分と比べてヤバイから落ち込んでいるんですけど?とツッコんでしまいます。他人は無視できても、自分を無視するのは難しいです。

なので、過去の自分と比べるのもダメです。今ここにいるのは今の自分だけです。
衰えていろいろヤバくても、今できることをしたりしなかったりするしかないのです。

コメント

  1. 引退した者です より:

    こんにちは。記事の内容が身につまされることばかりで、頭を抱えながら爆笑してしまいました。
    全面的に同意なのですが、最後の「過去の自分と比べるのもダメ」「衰えてヤバくても今できることを」という所までは、私は思い至りませんでした。だからそこから答えが出たことがあるので、長文で申し訳ないのですが報告しに来ました(^_^)

    私は引退前の数年間、作画コストを下げる工夫を重ねてきました。意図的にクオリティを下げるのは不本意でしたが、体力も集中力も衰えてきた中で、同人生命を延命するための必死の策でした。

    ですが当時私がいたジャンルは、描き手の人数の割には、妙にレベルが高い所でした。プロが何人もいて、最近見かけないけどジャンル移動したのかな?と思っていたら、公式の作画スタッフになっていた方もいました。アマチュアの場合でも「中の上」以上の上手い方ばかりでした。
    本当は私くらいの「中の下」レベルの描き手は趣味の世界では最多層じゃないかと思うのですが、それが居ないというのは、おそらくその層はこのジャンルでは描くのを自粛して、ROM側に回っているのではないかと思いました。

    私は超マイナーカプ(描いてるのは私だけ)でどうしても描きたいものがあったので、「むしろ神と自分を比較することすらお門違いでしょ!」と自分に言い聞かせて描き続けました。
    神の方は私など気にしないと思いますが、私と同レベルの技量で自粛している人たちから見たら「この人メンタル強いな」と思われてるんじゃないかと…被害妄想なのですが、私は心の底でそう思って重荷になっていたことに、今気付きました。

    だから作画コストをとことん下げても描くのがしんどくなってきた時、私は「もう描けない」と思ったのですが、それは厳密にいうと「今までと同じレベルのものは描けない」とか「これ以上クオリティを落としたものは人前に出せない」という意味だったんじゃないかと、今思いました。

    だから今の私がお絵描きに復活するなら、「自分史上最高に作画コストを下げる」ことと「人前に出さない(ローカルサイトでこっそり)」が条件になると思いました。
    萌えを共有する目的の作品はもう描けないので、完成させただけで偉い!と自分を褒めるステージに移行すればいいんですよね。
    あとは「アイデアが思い付かない」と「オヴァ絵しか描けない」という問題がありますが、それについては対応策と考えがありますので、お絵描きに復帰できそうな気がしてきました(ゝω・)

  2. ヒロコ1号 より:

    >引退した者ですさん
    こんにちは。私も引退直前の頃は作画コストを下げる工夫をするようになっていました。
    私の絵はもともと作画コストが低いのに、それをさらに下げようとしたので、最後に出した本の作画なんてスカスカで酷いものでした。冷めて気力が無くなってきていることは自分でも分かっていて「もうこれ以上は無理だ」と限界が来た時に引退を決意しました。

    私は、界隈のレベルが高いジャンルも普通のジャンルも両方経験しましたが、上手い人と自分を比べたことはありません。もし比べて気にするタイプだったら、私の画力で描き手に回ろうとは考えないはずです。さらに、絵が下手だからといって感想をもらえなかったりハブられたりしたことも無かったので、そこを気に病んだことはありませんでした。

    私はただ自分の萌えを形にして、ネタに「わかる」と言ってもらえれば嬉しかったです。
    私が折れたのは、単に自分のやる気が無くなったからで、引退を早めた間接的な原因(ツイッターとか)もあったかもしれませんが、基本の理由は単純なものでした。

    自分が普通に漫画を描けていた頃はピンと来ていなかったけど、今は本当に「完成させただけで偉い」と思っています。今の私は漫画は描けませんが、一枚絵なら何とかなるかという感じです。年齢(生年)は公開しているので、オヴァ絵でも問題ありません。
    お絵描きに復帰できるといいですね(・∀・)応援しています。

  3. 引退した者です より:

    こんにちは。昨日はテンションが上がっていて色々書いてしまい失礼しました。応援のお言葉、とても嬉しいです(´;ω;`)

    ヒロコさんが『ただ自分の萌えを形にして、ネタに「わかる」と言ってもらえれば嬉しかった』とおっしゃるのは、私も共感しますし、同人活動のモチベとして納得です。
    私はどちらかというと「自分の理想を形にしたい」という欲求がモチベになっていたと気付きました。だから加齢で衰えて来たときに、作画コストを下げて自分の理想から離れていくことが、受け入れ難かったのだと思います。
    上手い人が何人とかの問題ではなく、過去の自分と同じように描けないから辞めるのか、退化しても続けるのかは、私の問題です。

    ヒロコさんは現役時代に原稿を素早くたくさん描かれていたから、パワーダウンしても1枚絵を描く力が保たれていると思います。
    私は素早くなかったので1枚絵も危ういですが、退化しても私は自分の絵が見たいです。

  4. ヒロコ1号 より:

    >引退した者ですさん
    こんにちは。言われてみれば、私は「自分の理想を形にしたい」というよりも「同じジャンルの人達にウケれば嬉しい」という気持ちで二次創作をしていました。
    もちろん、解釈違いな人とは合わないしそれは仕方が無いのですが、それでも私の萌え語りに対して、界隈の多くの人が同意してくれれば成功みたいな考えがありました。

    私の萌え語りは、どのジャンルに行っても同意してもらえることが多かったから、そういう考えでずっとやってこられたんだろうなと、今になって気付きました。あと、私の絵は小学生の頃から変わっていないと思うので、昔と比べて退化したという感覚は無いのです。何年中断しても、私の絵は変わりません。これは他の絵描きさんにはあまり理解されない話です。

    ただ、もしも私の絵がもっと細かい絵だったら、お絵描きを再開するのは億劫になっていたかもしれません。疲れていても描けるような絵で助かりました。
    それはそうと「自分の絵が見たい」という動機はとても素敵ですね。私も、同じジャンルの人達がいない現在は、そういう気持ちで描くといいかもしれないと思いました。

  5. もこもこ より:

    ヒロコさんこんにちは。
    私は昔のように絵を描くことが楽しいと思えず今は絵を描くことが楽しくなくて苦しんでいる者です。
    たくさん模写をして参考書を買ってデッサンなどを重ねて「練習」をしていました。上手くなりたくてしょうがなかったのです。ネット上のたくさんの絵や講座・ノウハウに触れていくうちに、描き始めた頃とは見違える程絵が上手くなりましたし、絵を描かない一般の方からはプロみたいと(実際全然そんなことないです)褒められるくらいの実力にはなりました。昔の自分と比べて上手にはなったけど、今は絵を描く楽しさを失ってしまいました。今は下手でもいいから、昔の自分のように楽しく絵を描きたいと強く思うのです。ですが、『過去の自分と比べるのもダメです』というのはそうですね。

    今はお恥ずかしい話、絵を描こうとすると緊張して、何も描けずじまいになることが多いです。描いてても楽しいより先にもっとこうしなきゃとか上手く描こう頑張ろうという気持ちになってしまうのです。描いた絵を眺めるのは楽しいですし、人に見せるのも楽しいですが。何より描くことがツラいんじゃ…苦しいです。
    ネット上などで語られてるスランプ対処法は大体は試しました。絵を描くことを諦めるという選択も一時期とりましたが、やっぱり絵が描きたいという思いが強くて、諦めたくても諦められないという事態にまで陥りました。昔のように純粋に描けたらと、純粋に絵を描いてて楽しいという感覚を思い出せるまで描いてやるというこの頃ですが、昔の自分にこだわりすぎるのも良くないかもですね…
    自分が考えすぎてしまう人間なのは十分承知で、それが足枷になっていることも分かっちゃいるんです。ただ楽しく絵が描けるようになったらどんなに幸せなことか…と人様のブログで悩みを打ち明けてしまいました。拙い文章で長々と失礼いたしました。

  6. ヒロコ1号 より:

    >もこもこさん
    こんにちは。私が絵を描くのを一番楽しんでいたのは、同人をしていた頃でも、漫画雑誌に投稿していた頃でもなく、本当の意味で自由に描いていた幼少の頃でした。
    なので、昔の楽しい気持ちを思い出そうとするなら、すべてを吹き飛ばして年齢一桁の頃の心に戻るのが一番なのですが、まあなかなか難しいですよね。

    私も一応、絵の練習に挑戦してみたことはありますが、私は根性が無いので「上手くなるための訓練」の苦痛には耐えられませんでした。上手くなりたい気持ちはあったけど、そのためにこんなに苦しい練習をやらないといけないのなら、もういい!と投げ捨てたので、本当にちゃんと練習をしている人のことはめちゃくちゃ尊敬しています。

    早い段階で練習を諦めた私は、その後は幼少の頃と同じとまではいかなくても、かなり自由に描いていました。でも同人を引退してからは、もっと別次元の自由を得た気がします。
    漫画家を目指していた頃は同じ夢を持つ人達を意識していましたし、同人をしていた頃は同じジャンルの人達を意識していましたが、今の私は何にも属さない、真の自由の身です。

    今の私は、画力はともかく(練習を放棄した時点で、下手なままなのは自業自得だと受け入れています)自分が目指すメンタルには近付けていると思います。
    さらに、幼少の頃に感じていた「自由」と今の「自由」は違うので、昔にこだわりすぎないほうが良いのは確かかもしれません。昔とは違う新たな楽しさが見つかればいいですね。

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