オタクの雑談

今の時代に「先入観無しで作品を見る」ことの難しさについて

本当に昔の話なのですが、私が小学生の頃は、新しい作品に出会うきっかけと言えば「たまたまテレビで放送しているアニメを見た」とか「たまたま本屋で目に付いた漫画があった」というようなものしかありませんでした。ネットは無く、雑誌で情報を得るという手段も知らなかった頃、前知識がまったく無い状態で作品を見るのは普通のことでした。

でもだからこそ、雑念の無い純粋な自分の感想だけを胸に抱くことができました。

しかも私は、高校に入るまでは真剣にアニメや漫画の感想を語り合える相手がいなかったので、作品を見終わった後も、心の中にあるのは自分自身が抱いた感想だけでした。
当時はオタク仲間がいないことを寂しく思っていましたが、今はそれで良かった気がしています。

今の時代は、作品そのものを見る前に、匿名掲示板やSNSでの批評や、公式の中の人達の炎上エピソードなどが目に入ることが多いのではないでしょうか?

私が大学を卒業する頃にはネットが普及し始め、それにハマった私は、毎日深夜までネットをしていました。新しい作品を知る時も、原作よりも先に二次創作が目に入ることが多かったです。
それと同時に匿名掲示板などにも入り浸り、他の人達の書き込みを読みまくっていました。

そんな中で、特定の作品について悪い噂があるとか、世間ではここが好評だとか不評だとかいう情報が目に入ってくると、それのせいで作品を色眼鏡で見てしまうようになりました。
昔は自覚がありませんでしたが、今振り返ると影響を受けていたと思います。

作品を見て面白いと思っても「でもこの声優が炎上したんでしょう?」と、自分で見た余計な情報のせいで冷めた気分になってしまい、純粋に楽しめないこともありました。
公式のキャラを見ても、同人界隈で流行っている特殊なキャラ解釈が頭にチラついて集中できないこともありました。自分の感想と世間の評判が違っていると非常に腹が立ちました。

本来なら「自分はどう思ったか」よりも優先すべき意見なんてひとつも無いはずなのに、ネット上の他人の言葉が、何故かやたらと心に引っ掛かってしまっていました。

同人をしていた頃に好きになって二次創作をした作品については、好きだったこと自体は間違い無いと思いたいです。でもそれは本当に、ネット上の絶賛に踊らされた部分は無かったのか、他人の曲解に流されたキャラ解釈をしていなかったか、今は少し気になっています。

今後はできるだけニュートラルな気持ちで作品を楽しみたいとは思うものの、今の時代ではそれはとても難しいことです。何かあればすぐにネットを見ることができる環境では、先入観をまったく持たずにいるのは無理かもしれません。

でも、できるだけネットで余計なものを見ないように、意識はしていきたいです。私は長年アホみたいにネットを使ってきたのだから、そろそろ自制してもいい頃です。ネットが無かった小学生の頃と同じ気持ちで新しい作品を楽しみたいというのが、今の私の願いです。

コメント

  1. より:

    こんばんは。特に日本人は流されやすいというか、多数派に追従する傾向がありますよね。コロナのデマ情報に踊らされたり、(実際面白いとは思いますが)某漫画が有名人やメディアを巻き込んでやたら持ち上げられたり、芸能人のゴシップ等を寄ってたかって叩いたりするのを見てそう思います。
    昨今はSNSの影響か自分が監視・評価されていると自意識過剰になって、自己承認欲求が強いくせに「自分は自分」と自信を持つというか、他人と割り切ることができなくなっているような。
    作品だって、皆が評価していてもつまらないものはつまらないし、自分しか知らなくても面白いものは面白いんですけどね。みんな似た解釈だと二次創作も没個性になりますし。

  2. みち より:

    はじめまして
    以前から記事を読ませていただいていました
    今までの記事も同意しかない内容だったのですが今回はまさに私がSNSを辞めたきっかけとも繋がってる記事で驚きました

    特殊性癖と言いますか
    キャラをそういう変な目に遭わせる創作が流行っているCPがジャンルの界隈内にあるのですが
    そこをかじっている方が皆!こんな目に遭ってる○○(作中のキャラ)!好きだよね?!RTしたよ!と広めていて
    そのキャラは実際作中でそのような目に遭うことはことはない、ただの二次創作、とわかってはいたのですが
    それからそのキャラを見たらRTされてきた作品が頭をよぎってしまい…キャラに申し訳なくなったのでジャンルごと避けることにしました

    あと、これまた別ジャンルの話ですが、キャラが暗闇に消えるシーンで「この後絶対△△(キャラ名)変な目に遭うよねw」とかなんでもかんでも性的に捉える方がいて…それが一人二人だったらミュートして終わり、だったのですがその考えがタイムラインにいる方々に伝染して…なんてことも
    そのジャンルも避けてます
    作品自体も観れなくなりました(これは私自身の問題もあると思います)
    早く忘れればいいだけなのにその方の発言が過ってしまうのが本当に情けないです

    そういうことが重なり、ジャンルを移動する度にこうなるのは精神的にキツいと思って一年前にSNSなどの類を辞めました
    全く知らない作品ですらキャラクターがそういう目に遭ってる二次創作を見て変な先入観を持つようになっていたのでその頃はもう末期でした
    それから、運良く自分にあったジャンルが見つかったので同人活動自体は続けていますが前ジャンルなどの島は避けてます

    昔はなんとなく気になってアニメを見る、マンガ雑誌に載ってるから読んでる、など今でいう布教?プレゼン?(という名の押し付け)とかそういうのなしに自分が気になる、好きだからで作品を楽しめてたな…としんみりしました
    今も、アニメやゲームのことが少しでも気になったらネットで調べて、変な感想や作品を変に揶揄した発言を見かけてへこむ…といった感じで自ら地雷源に足を踏み入れる間抜けなことをしているのでそういう癖を早く直したいです

    長々とすみませんでした
    いろいろと落ち着かないご時世ですが、どうかお平穏に過ごせますよう願っています

  3. ヒロコ1号 より:

    >一さん
    こんばんは。昔と比べて情報を得やすくなったのは良い点もあるはずなのですが、今の私としては、知りたくない情報や無駄な情報を得てしまうデメリットのほうが多い気がします。
    特定の作品がやたらメディアで持ち上げられると「面白そう」と思うより「裏で何が動いているんだ?」と思ってしまって、それもまた作品への純粋な評価を歪めてしまいます。

    デマ情報は、懲りずに釣られ続ける人がいる一方で、疲れて嫌になったのでもう引っかからないという人も一定数いると思うのですが、そういう人は表には出てきませんからね。
    目立っていない大事なものを意識することは本当に重要だと思います。

  4. ヒロコ1号 より:

    >みちさん
    はじめまして。SNSで伝染していく特殊性癖はもうどうしようもないので、苦手な人にとっては本当に地獄だと思います。これで見られないジャンルが増えるのはつらすぎますよね。

    あの伝染は若さゆえなのか、同調圧力なのか、SNSの空気にやられて変なテンションになってしまうのか、いまだに謎です。あれも実際は、本当にそれが好きな人は一部だけで多くの人は流されているだけだと思っています。SNSから引き離して1人にしてもそれが好きと主張できるなら本物ですが、ほとんどの人は1人になれば大人しくなるのではないでしょうか。

    二次創作と公式は違うと分かっていても、嫌な意味で強烈に印象に残ってしまうと、公式を見るたびに思い出してしまうものです。完全に忘れることができる人は少数派だと思います。

    気になった作品ほどネットで調べてしまいがちですが、今は「調べない勇気」を持つことが大事だなと考えています。強い意志を持って「調べない」ことを意識しなければいけません。
    私は初めてネットに触れた時は素晴らしいと感動したのに、数十年後にこんなことになるなんてと少しガッカリしています。みちさんが今後純粋に作品を楽しめるよう祈っています。

  5. フォルフォル より:

    こんにちは、はじめまして!いつもブログ拝見しています。肯ける記事が多く楽しく読んでいます。
    今回の記事を読んで、今の時代先入観なしで作品を鑑賞する難しさを感じました。様々なアニメや漫画の炎上騒動が起きる度に、作品を作っている人達にとってはやりづらい時代になったなあと感じています。

    私もSNSやネットの掲示板を通して他人のレビューや感想を読んでリアルタイム時鑑賞が出来なかった作品がありました。シリーズモノで前後作が人気かつ実験的要素もあった為その作品だけ容赦なく叩かれてました。当時の私はその作品に関してはなかなか観る勇気が出ませんでした。
    しかし、リアルタイム時からその作品のファンの方と親交があり楽しそうに活動されていました(少しだけ、その作品自体に関する圧倒的な不評ぶりに愚痴をこぼされていました)
    数年後、勇気を出してちゃんと鑑賞してみることにしました。叩きも落ち着いた頃だったのもあり、キャラクターや今までにない物語展開もあり楽しんで観れました。最終的にはその作品が好きになり、時折物語の中で生き生きと動くキャラクターの姿から勇気をもらうこともあります。

    SNSが台頭してから、私は他人の感想や批評を読むのが少し怖くなりました。そういったものは避けるようにしていますが、時々そういったキツい感想が目に入ることがありしんどくなりますね。今はSNSと距離を置き、他人の評価が気になって仕方ないほどでは無いのですが、やはり好きな作品の評価は少し気になってしまいます。しかし、自分が感じた「あっ、これいいな!」という直感は大事にしていきたいなと感じました。

  6. ヒロコ1号 より:

    >フォルフォルさん
    はじめまして。炎上していたり評判が悪い作品は見るのを躊躇してしまいがちですが、実際に見てみたら、世間で不評な部分が自分にとっては気にならなかったという場合もあります。
    今の時代は特に、自分の目で確かめることの大切さを実感しますね。

    また、作品が発表された当初は叩かれていても、何年か経てば「あれも悪くなかった」と評価が変わることもあります。だから、叩かれている最中にその空気の悪さに引っ張られて嫌な気分になるのは損なことではないかと、長年生きてきて思うようになりました。
    今は不評でも数年後には変わるかもしれないと、落ち着いて見守ればいいのではないかと。

    他人の感想をつい見に行ってしまうのは、誰かがおもしろい感想を書いてくれているかもしれないとか、自分と意見が合う人がいるかもしれないと期待してしまうからだと思います。
    でも実際は期待を裏切られて不快な思いをすることも多く、だんだん嫌になってきます。
    ネットサーフィンに使う時間を、新しい作品を見ることに使えば万事解決な気がします。

  7. 匿名希望です より:

    こんばんは。夜遅くに失礼します。

    声優さんのスキャンダルなどがあると作品見てるときもそう言うことを考えてしまいますね。
    大抵、そういうゴシップネタはツイッターで知ることが多かったです。
    ツイッター辞めてからは○○クラスタ(特定のアニメが好きな人達を指す)はツイッターでの民度低いなどの皮肉も目に入らなくなり、精神的には楽になりました。

    現代はネット社会だから完全にネットを見ないのは難しいのかもしれないけれど、ツイッターでの新型コロナのデマの件もあり、知り得た情報は鵜呑みにしないように、気をつけるようにしています。

  8. ヒロコ1号 より:

    >匿名希望さん
    こんばんは。今は、デマや不快な情報はほぼ全部ツイッターで生み出されていると言ってもいいくらいなので、逆にツイッターさえ見なければかなり快適になるはずです。
    ツイッターで民度の低くないクラスタなんているのだろうか…と、ちょっと思ってしまいますが、そういう不毛な発言もツイッターを避けるだけでほぼすべて避けられます。

    声優さんも、別に問題の無い人もたくさんいるのですが、SNSを与えてはいけないタイプの人が悪目立ちするのでいろいろ大変です。アニメ監督や作家さんにも同じことが言えます。
    デマは意図的に流されている場合もあるので、本当に鵜呑みは禁物ですね。

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